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核融合とクーロン障壁

2つの軽い原子核は、短距離で働く強い力が引き合わせてくれる前に、まずクーロン力で反発し合います。画面の火山のような山がその反発の壁 — クーロン障壁 V(r) = 1.44·Z₁Z₂/r MeV — で、2つの核は左右からこの山を登っていきます。古典力学では、頂上を越えるだけの運動エネルギーがなければ融合できません。しかし量子力学は違います。トンネル効果のページと同じ理屈で、ガモフ因子 P = exp(−√(E_G/E)) の確率なら、届かないはずの高さでも壁をすり抜けられるのです。反応を選び、温度(=運動エネルギー)を上げてみてください。まれなトンネル成功が、やがて障壁を悠々と越える古典的な衝突に置き換わっていきます。

E=Δmc2=Δm×931.494 MeV/uV(r)=1.44Z1Z2r[fm] MeVP=exp ⁣(EGE)E = \Delta m\,c^{2} = \Delta m \times 931.494\ \mathrm{MeV/u} \qquad V(r) = \dfrac{1.44\,Z_1 Z_2}{r\,[\mathrm{fm}]}\ \mathrm{MeV} \qquad P = \exp\!\left(-\sqrt{\dfrac{E_G}{E}}\,\right)

T を上げるとトンネル成功が増え、さらに上げると古典的に障壁を越える(p–p は越えてもほぼ融合しない — 弱い力がボトルネック)

放出エネルギーQ = 17.59 MeV → ⁴He + n

質量欠損Δm = 0.018884 u × 931.494 MeV/u

障壁 対 KEV₀ = 0.44 MeV / KE = 0.0150 MeV

トンネル確率P ≈ 1.38×10⁻⁴

融合回数0

D–T 融合はわずか 0.018884 u(陽子1個の質量の約2%)を、E = Δm·c² = Δm × 931.494 MeV/u によって 17.59 MeV に変えます。核子あたりの結合エネルギーは ⁵⁶Fe / ⁶²Ni 付近(約8.8 MeV/核子)でピークになり、軽い核は融合で、重い核は分裂で、その山頂に向かうことでエネルギーを放出します — 核融合と核分裂は、同じ1本の曲線を両端から読んでいるだけです。燃料は水(重水素)とリチウムから作れるほど豊富で、灰はヘリウム。核分裂のような長寿命の高レベル廃棄物は残りません(中性子が炉壁を放射化する課題は残ります)。難しいのはクーロン障壁と「閉じ込め」です。ITER のようなトカマクは D–T 反応を約1億5000万ケルビン、10–20 keV で狙います。一方、太陽の中心はずっと「冷たい」1.3 keV(1.5×10⁷ K)。そこでは1個の陽子が p–p 反応を起こすまで、平均で数十億年も待ちます。トンネル効果だけならここまで稀にはなりません。最初の一歩 p + p → d + e⁺ + ν が弱い力を介するため、桁違いに遅くなるのです(このページの p–p は、4個の陽子が ⁴He になる連鎖全体をひとつにまとめて描いています)。だからこそ水素爆弾は p–p ではなく、速い D–T を使います。同じ「水素の核融合」でも、太陽と爆弾では走らせている反応が違うのです。