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核分裂の連鎖反応

重い原子核(²³⁵U や ²³⁹Pu)に中性子が飛び込むと核分裂が起こります。核は2つの破片に割れ、莫大なエネルギーとともに新しい中性子を平均2〜3個放出します。この平均が ν̄ です。例:²³⁵U + n → ¹⁴¹Ba + ⁹²Kr + 3n + 約200 MeV。放出された中性子が次の核を叩けばまた分裂が起こる、これが連鎖反応です。1回の分裂が平均して次の分裂を何回引き起こすか — それが実効増倍率 k。ν̄ に「中性子1個が次の分裂を起こす確率」を掛けたものです。k が1より小さければ反応はやがて減衰して止まります(未臨界)。ちょうど1なら中性子数は一定に保たれます(臨界。原子炉はこの状態で運転します)。1を超えると世代ごとに k 倍、指数関数的に増え続けます(超臨界、核爆発の領域)。中性子を発射し、k を動かしながら箱の中の連鎖反応を見てください。

k=νˉP(fissionn)N(g)=N0kgE200 MeV/fissionk = \bar{\nu}\,P(\text{fission}\mid n) \qquad N(g) = N_0\,k^{g} \qquad E \approx 200\ \mathrm{MeV/fission}

k を1より上げると、中性子が指数関数的に増えていく

νˉ=2.43,E=200 MeV/分裂,臨界質量52 kg\bar{\nu} = 2.43,\quad E = 200\ \mathrm{MeV}/\text{分裂},\quad \text{臨界質量} \approx 52\ \mathrm{kg}

状態臨界

放出エネルギー0 MeV

分裂数0中性子数0

臨界質量は反射材なしの球形でおよそ ²³⁵U が52 kg、²³⁹Pu が10 kg。中性子を跳ね返す反射材で包めばもっと少なくて済みます。²³⁸U は分裂しにくい「親物質」で、中性子を吸収してもほとんどは分裂せず ²³⁹Pu へ変わるだけ。天然ウランに濃縮が必要な理由です。中性子の大部分は分裂と同時に出ます(即発)が、約0.65%は数秒から数十秒遅れて出ます(遅発中性子)。この遅れのおかげで原子炉は制御棒でゆっくり調整でき、暴走しにくくなっています。エネルギーの正体は質量欠損。分裂の前後で核の質量が約0.1%軽くなり、その差が E=mc² として放出されます。1回の分裂で約200 MeV(約3.2×10⁻¹¹ J)、²³⁵U 1 g がすべて分裂すると約8×10¹⁰ J。石炭2.5トン分の熱量、TNT換算で約17トンに相当します。広島に落とされたのはウラン砲身型、長崎はプルトニウム爆縮型。同じ物理が、制御されれば世界の原子力発電を支えています。なお、この箱では時おり中性子がひとりでに生まれます(自発核分裂や宇宙線による背景中性子)。使い切った核はしばらくすると周囲の燃料から補充され、描画の都合で中性子は220個が上限 — 超臨界の指数増加はグラフ上端の点線で頭打ちになります。